「チロルのあき」いらい |
「チロルの秋」以来 |
冒頭文
私の戯曲の処女上演は、「チロルの秋」です。 一昨々年の九月、演劇新潮に、私の第二作「チロルの秋」が発表されると、間もなく、新劇協会の畑中君が見えて、あれを出したいと云ふのです。 ステラの役は伊沢君にきまつてゐました。伊沢君は、数年前その初舞台を見たきりですが、あの落ついた物腰と云ひ、あのうるほひのある声と云ひ、申分ないと思ひました。 アマノは、郷橋君か石川君といふこと
文字遣い
新字旧仮名
初出
「若草 第三巻第八号」1927(昭和2)年8月1日
底本
- 岸田國士全集20
- 岩波書店
- 1990(平成2)年3月8日