きぼう
希望

冒頭文

私は不勉強で行動主義の何であるかといふことを今日まで余り注意しないでボンヤリしてゐた。唯行動主義といふ言葉で自分勝手の概念を作つてゐたやうなわけで、非常に誤つた考へ方をしてゐたかも知れない。がかりにその言葉だけから考へても、私にとつて全く魅力のない言葉ではなかつた。といふのは、長い間ものを書いて衣食としてゐながら、今日の自分の生活に充されないものが多いことを感じてゐる。今日まで、文学がすべてである

文字遣い

新字旧仮名

初出

「行動文学 第一巻第一号」西東書林、1936(昭和11)年6月1日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日