ぶんかくんしょうについて
文化勲章に就て

冒頭文

標題のやうな意味の感想をもとめられた。私は文学にたづさはるものゝ一人として、むろん、多少の感想はないことはないが、それを今、なんのために、誰に向つて云ふべきであらう。元来、文学芸術の畑では、かゝる問題をかれこれ論議するものがないやうな状態が望ましく、少くとも個人としてこの種のことに必要以上の興味をもつなどは甚だ不可解だとさへ、私は信じてゐるのである。要するに、国家の恩典について専ら考慮をめぐらすべ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1937(昭和12)年2月15、16日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日