文学といふものを専門的なものと考へる理由は十分にあるが、また、これを専門的なものではないと考へる一面がある筈である。 専門家にしか興味のないやうな文学と、専門家には興味がないやうな文学(?)とが截然と別れてゐるところに、わが国現代文化の特殊性があるとみて、私は、今日のわれわれの仕事といふものの困難を、つくづく感じるのである。 個人々々の問題はしばらく措くとして、文学者一般が、世