しんげきのいくべきみち
新劇の行くべき途

冒頭文

事変下の所謂「思想統制」が演劇興行の上にまで及んで来たことは、これは止むを得ないものとして、われわれは寧ろ積極的に、その結果を本来の目的に副はしめるやう努力しなければならぬと思ふ。 営利本位の劇場が、それぞれ上演目録の一部を「時局向き」に着色しはじめたことについては、今私は何も云ふことはない。つまり「思想」のないところに統制もなく、従つて思想的な影響力等といふものは考へられないから、別に

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1938(昭和13)年2月6~9日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日