げきじょうとかんきゃくそう
劇場と観客層

冒頭文

本誌(「改造」)に時評を書くのは初めてだから、多少今まで云つたことと重複する点もあるが、私が現在、最も痛切に感じてゐることを、ここでも云はして貰ふことにする。 先づ、私が訊ねたいと思ふのは、本誌の読者で、「現在の芝居」を観に行く人が、どれだけあるかといふことだ。歌舞伎、新派、新劇を通じて、ある程度まで各人の好みがあることはあるだらうが、その何れでも、実際、時には観たいと思ひ、木戸銭を払つ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第十五巻第一号」1933(昭和8)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日