ことばのみりょく ――じょがっこうようこくごとくほんのために―― |
言葉の魅力 ――女学校用国語読本のために―― |
冒頭文
言葉といふものは、書かれる場合と話される場合とで、余程性質が違つて来るものである。 書かれた言葉、即ち「文章」については、いろいろの研究や模範が示されてゐるが、「語られる言葉」即ち「談話」といふものになると、まだ日本ではそれほど人々の注意をひいてゐない。 文章の善し悪しは、近頃漸く正しい批判に基いて論じられるやうになつたが、「談話」や「弁舌」の標準は、どうもあやふやで頼りない気
文字遣い
新字旧仮名
初出
「女子新国文巻十」冨山房、1935(昭和10)年
底本
- 岸田國士全集22
- 岩波書店
- 1990(平成2)年10月8日