しんげきのしまつ |
新劇の始末 |
冒頭文
新劇とは? 「新劇」といふ言葉は最初誰がどういふ意味で使ひ出したか知らぬが、「新しい芝居」といふことを漢語で云つたまでで、専門的な術語と見做すわけに行かぬと思ふ。従つて、ある限られた範囲のものを指すためには、甚だ不都合な言葉である。 今日の通念としては、大小の商業劇場が、営利を目的として一般大衆に見せる芝居は、歌舞伎も新派も、その他何々合同劇といふやうなものも、一切、それが如何に「新しき試
文字遣い
新字旧仮名
初出
「劇作 第四巻第四号」1935(昭和10)年4月1日
底本
- 岸田國士全集22
- 岩波書店
- 1990(平成2)年10月8日