「おもわざるしゅうかく」について
「思はざる収穫」について

冒頭文

私の敬愛する先輩、内藤濯氏の近著「思はざる収穫」について何か書けといふ本紙編輯者の命である。 先づ内容は「静観と逍遥」「人と作」「印象と追憶」「読後」「身辺雑事」「十二人一首」の六項に分類され、これに四葉の叙情味あふるゝ写真が添へてある。 各項目はまた、それ〴〵豊富な標題を含んでゐるが、その一つ一つについて、こゝで述べてゐる暇はない。たゞ若干の例を挙げれば、「仏蘭西文芸の味はひ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「一橋新聞」1935(昭和10)年4月26日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日