「せりふ」について
「せりふ」について

冒頭文

舞台に於ける俳優の「白(せりふ)」については、今いろいろ考へてゐることもあるが、戯曲としての「対話」といふやうなことは、もう自分で意識することも厭になつてゐるので、わざわざ理窟をつける気がしない。若し参考になるなら、もう十年ばかり前に私の書いた「我等の劇場」といふ文章を読んで貰へばいゝと思ふ。 しかし、折角の注文ではあるし、重複するかも知れないが、「劇の文体」といふことで少し述べてみよう

文字遣い

新字旧仮名

初出

「月刊文章講座 第一巻第三号」1935(昭和10)年5月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日