『あかおに』のさくしゃさかなかまさおくん
『赤鬼』の作者阪中正夫君

冒頭文

新劇を見るほどの人で阪中正夫君の名を知らぬ人はあるまい。また、創作座の支持者で、『馬』の舞台から何か「新鮮なもの」を感じなかつた人もあるまい。 阪中君は、戯曲家として、やはり、リリシズムに出発し、現実の解剖に進んだ優れた作家の一人であるが、最近に至り、彼の着眼は次第に人間生活の複雑な機構、「利害」の心理ともいふべき一種素朴にして凄惨な情景に向けられはじめた。 しかしながら、彼は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「創作座 第七号」1935(昭和10)年6月28日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日