サン・ジョルジュ・ド・ブウエリエについて |
サン・ジョルジュ・ド・ブウエリエについて |
冒頭文
「わたくしは、ただ、自分の欲求に従ひ、只管霊感に耳を傾けて、劇作の筆を取り始めました。流行の誤れる趣味、因襲の命ずる手段術策はこれを顧みる気にさへならなかつたのです。わたくしは、ただ、人生研究に憂身を※[#「宀かんむり/婁」、72-4]す一介の徒弟でありました。それは光と影とを併せ有ち、その中に神秘の姿を織り込んでゐるいとも弱き人生であります。わたくしは、まだ名も知らない、誰も十分に究めたことのな
文字遣い
新字旧仮名
初出
「近代劇全集第二十三巻」第一書房、1928(昭和3)年6月10日
底本
- 岸田國士全集21
- 岩波書店
- 1990(平成2)年7月9日