さだんじいっこう
左団次一行

冒頭文

歌舞伎劇を欧米の劇壇に紹介することは、たしかに有意義であり、その企てが案外容易に(実際はいろいろ困難もあつたらうが)果されたことは何よりよろこばしいが、露西亜の芸術家が、歌舞伎の実演から何を学び、何を感得したかを知る方法はないだらうか。一二新聞批評らしいものも伝へられはしたが、あんなものは当てにならない。 露西亜人は、他の欧米人に比べて、東洋芸術の真髄に触れ得る国民だとは思ふが、いきなり

文字遣い

新字旧仮名

初出

「悲劇喜劇 創刊号」1928(昭和3)年10月1日

底本

  • 岸田國士全集21
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年7月9日