「かたられることば」のび
「語られる言葉」の美

冒頭文

一 書かれた言葉と語られる言葉 われわれ日本人は、子供の時分から、文字を眼で読むといふ努力をあまりに強ひられた結果、「口から耳へ」伝へられる言葉の効果に対しては、余程鈍感になつてゐるやうである。もちろんその他にも原因はあるだらうが、書かれた言葉、即ち文章についてやかましい批評をする人も、「語られる言葉」即ち「談話」については、案外、無関心であるなども、その証拠だらうと想はれる。 雄

文字遣い

新字旧仮名

初出

「悲劇喜劇 第二号」1928(昭和3)年11月1日

底本

  • 岸田國士全集21
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年7月9日