ジュウル・ルナアル |
ジュウル・ルナアル |
冒頭文
劇作家としてのジュウル・ルナアルを識る前に、詩人としての——芸術家としてのルナアルを識らなければならない。 彼は自ら称する如く、「幻象(イマアジュ)」の猟人である。自然を愛し、自然を味ひ、自然を呼吸しつつ、その全生涯を一種の厭世家として終始してゐる。 芸術家としてのルナアルの偉大さは、彼が聡明なペシミストであるが為に、ただそれが為に、屡〻凡庸な批評家を近づけない。 彼
文字遣い
新字旧仮名
初出
「近代劇全集 第十九巻」第一書房、1929(昭和4)年2月10日
底本
- 岸田國士全集21
- 岩波書店
- 1990(平成2)年7月9日