クロムランクとベルナアルについて |
クロムランクとベルナアルに就いて |
冒頭文
欧洲大戦後、即ち千九百二十年から二十三年にかけて、仏蘭西の劇壇は空前の開花期を現出し、その間に、有為な新作家が相次いで「問題になる作品」を発表した。 クロムランクの「堂々たるコキュ」と、ジャン・ジャック・ベルナアルの「マルチイヌ」とは、サルマンの「幻の魚」などと共に、当時の批評壇を賑はしたものである。 ところが、今日、これを読み返してみると、「堂々たるコキュ」の方は相変らず面白
文字遣い
新字旧仮名
初出
「近代劇全集第二十一巻」第一書房、1930(昭和5)年8月10日
底本
- 岸田國士全集21
- 岩波書店
- 1990(平成2)年7月9日