『シラノ』ざっかん |
『シラノ』雑感 |
冒頭文
二月の帝劇で左団次一派が『シラノ・ド・ベルジユラツク』を出すといふ、先年沢田正二郎が翻案白野弁十郎を演つた時、原作の面影がどれほど伝へられたかは知らぬが、今度は時間の関係で多少のカツトをする外大体、辰野、鈴木両君の定評ある名訳によるとのことであるから、左団次の演技次第で、かのポルト・サンマルタン座初演の当時をしのぶことが出来るかも知れない。 なにしろ、フランスで芝居の歴史始まつて以来の大
文字遣い
新字旧仮名
初出
「報知新聞」1931(昭和6)年1月30、31日
底本
- 岸田國士全集21
- 岩波書店
- 1990(平成2)年7月9日