わたしのじゅうぐんほうこく
私の従軍報告

冒頭文

戦線は無限に広いこと 武漢が落ち、広東が陥ち、わが軍の作戦区域が著るしく拡大されたことは云ふまでもないが、私の今度の中支従軍を通じて、現実にこれは大変だと感じたことは、普通第一線と呼ばれてゐる作戦軍の正面以外に、鉄道の沿線と揚子江流域の重要な都市を囲む殆ど中支一帯の地域に残敵の有力な部隊が蟠居して、わが占領地区を脅かしてゐることである。これらの敵は、勿論、種々雑多な素質と編成によるもので、必

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1938(昭和13)年11月12~16日

底本

  • 岸田國士全集24
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年3月8日