ジーブルグちょ「かみはフランスにいるか」 |
| ジーブルグ著「神はフランスにゐるか」 |
冒頭文
フランスについて語られた書物のうち、これほど公平にフランスを観、批評したものは、これまでにも少くはないかと思ふ。しかもそれがドイツ人の手になつたものであるところが面白く、嘗てスタアル夫人が「ドイツについて」を書いた、あの態度よりも一層われわれには好ましいものに感じられる。一外国人としてフランスを愛し、しかも、容赦なくその病弊をつくところ、フランスは国外によき友を持つたといひたいくらゐである。
文字遣い
新字旧仮名
初出
「読売新聞」1941（昭和16）年4月30日
底本
- 岸田國士全集25
- 岩波書店
- 1991（平成3）年8月8日