ゆめとじつげんののうりょく
夢と実現の能力

冒頭文

私は小学校以来自分の卒業した学校の式以外に卒業式といふものには列席した経験がありません。自分の卒業式に感動するのは勿論でありますが、今日の卒業式から受けた感動は終生忘れ得られないものであります。私も文学者でありますから多少想像力を持つてをるつもりでありますが、私の想像する限りにおいて自分に直接関係のある兄弟や子供の式でもない卒業式に列席して、今日のやうな感銘を受けることはないと思はれるのであります

文字遣い

新字旧仮名

初出

「自由学園男子部第一回卒業式講演」1941(昭和16)年12月8日、「婦人之友 第三十六巻第三号」1942(昭和17)年3月1日

底本

  • 岸田國士全集25
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年8月8日