ひとつのしあん ――「れつ」かいしょうのために
一つの試案 ――「列」解消のために

冒頭文

一 先ごろから、魚屋、八百屋、菓子屋などの店先き、多くの主婦たちが一列に並んで順の来るのを待つてゐる買物風景は、どこへ行つても見ないといふわけにはゆかない。 日本は、まだまだ食ふに困らないだけのものは持つてゐる。みんなが、ちよつと不自由を忍ぶならば、一時間も二時間も並んで待つまでもなく、日常に食ふだけのものは間に合ふ筈である。もちろん、思ふとほりのものが、思ふぞんぶんに食べられると

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時局雑誌 第一巻第五号」1942(昭和17)年5月7日

底本

  • 岸田國士全集25
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年8月8日