にほんぶんかのとくしつ ――ちからとしてのぶんか だいにわ |
日本文化の特質 ――力としての文化 第二話 |
冒頭文
一 「文化」は国土と歴史との所産であります。言ひ換へれば、民族の血と運命とが創りあげる生存のすがたであります。民族とはこゝでは狭い意味の人種的差別を云々せず、精神的に結合した政治的統一体を指すこととし、やがては、国民の名に於て全く等質の文化圏に入るべき複合民族をも意味するものと考へたいのです。 ところで、日本の「文化」は、今日まで、いはゆる「大和民族」たるわれわれの祖先が、允文允武にま
文字遣い
新字旧仮名
初出
「力としての文化――若き人々へ」河出書房、1943(昭和18)年6月20日
底本
- 岸田國士全集26
- 岩波書店
- 1991(平成3)年10月8日