せいねんのゆめとゆううつ ――ちからとしてのぶんか だいごわ |
青年の夢と憂欝 ――力としての文化 第五話 |
冒頭文
一 青春は夢多き時代です。 青年には夢がなければなりません。 青年の夢は美しく、そして遥かであります。 「夢」とはいつたいなんでせうか。 こゝではもちろん、睡眠中の夢を指すのではありません。 頭がはつきりしてゐる時に、その頭の中を去来する幻の如き想念を指すのですが、しかもその想ひは、常に希望となつて輝き、情熱となつて燃えあがるていのものであります
文字遣い
新字旧仮名
初出
「力としての文化――若き人々へ」河出書房、1943(昭和18)年6月20日
底本
- 岸田國士全集26
- 岩波書店
- 1991(平成3)年10月8日