ちほうぶんがくのしょこう
地方文学の曙光

冒頭文

一 日本は何処へ行つても日本だといふことを私は近頃ますます強く感じる。が、それと同時に、同じ日本でありながら、処によつてかうも違ふものかといふ印象を受ける場合がまた極めて多い。 お互日本人は誰でもさうだと思ふが、この二つのことを少しも矛盾として受けとらない。おそろしく違ふもののなかに、根本的に共通したものを自然に嗅ぎ分けることができる。 すべてがたゞ一つの目的に向はね

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸春秋 第二十二巻第十号」1944(昭和19)年10月1日

底本

  • 岸田國士全集26
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年10月8日