『うつくしいはなし』まえがき
『美しい話』まへがき

冒頭文

「美しい」ものを「美しい」と感じる心は誰にでもあるはずだが、「ほんたうに美しい」ものと「みかけだけ美しい」ものとの区別がつかなくなつてゐる人はずいぶん多い。それからまた、「美しい」といふことをはきちがへてゐる人、つまり「醜(みにく)い」部類にはいるやうなものを何時のまにか好きになつてゐて、それが「美しい」のだと思ひこんでゐる人が、これまたなかなか少くないのである。 「ほんたうに美しい」ものを「美

文字遣い

新字旧仮名

初出

「美しい話」静話会編、静話会出版部、1946(昭和21)年10月15日

底本

  • 岸田國士全集27
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年12月9日