「げきさく」につぐ |
「劇作」に告ぐ |
冒頭文
ずいぶん旧いことだが、「劇作」が創刊される頃はたしかに新劇の世界に一つの機運がもり上つてゐた。それは、大正初年の、いはゆる戯曲の開花期に相応するものである。 私はこの二つの時期をそれぞれに、新劇に於ける飛躍時代と呼びたいのであるが、その意味は、日本演劇の近代化が、戯曲文学を通じて、これほどはつきり、一つの足跡を残した時代はないと思ふからである。 大正初年は、舞台的にも、様々な集
文字遣い
新字旧仮名
初出
「劇作 第一号(通巻一〇五号)」1947(昭和22)年4月1日
底本
- 岸田國士全集27
- 岩波書店
- 1991(平成3)年12月9日