よこみつくんというひと
横光君といふ人

冒頭文

「文芸時代」が創刊されて間もなく、私がたしか第二作の「チロルの秋」を発表した直後、菅忠雄君から同人にならぬかといふ勧誘をうけ、会場はどこだつたか覚えてゐないが、その同人会といふのにはじめて出席した。十数人の血気さかんな同人諸君といつしよに、横光君とも初対面の挨拶をした。その時の印象は特にきわだつてどうといふこともなかつた。その後、住ひが近所であつたりした関係で時々は顔を合はした。年も随分違つてゐた

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 第二巻第四号(横光利一追悼号)」1948(昭和23)年4月1日

底本

  • 岸田國士全集27
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年12月9日