けんふじんのいちれい(ひとまく)
賢婦人の一例(一幕)

冒頭文

橋本夫人 渥美登 静間氏 静間弓子 女中 東京の郊外——初冬——午後二時頃。 橋本家の奥座敷。 紫檀の机を囲んで座蒲団が四つ。 女中が火鉢に炭をついでゐる。 橋本夫人が現れる。 橋本夫人  その炭は跳ねるから、気をつけてね。 女中  はい。 橋本夫人  それから、きいちやんが、また、お玄関を泥だらけにしたよ。 女中  はい。 橋本

文字遣い

新字旧仮名

初出

「黒潮 第三十二年第一号」1927(昭和2)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集2
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年2月8日