ついに「しらん」ぶんろく(さんば)
遂に「知らん」文六(三場)

冒頭文

河津文六 妻 おせい 倅 廉太 娘 おちか 梶本京作 お園 其他 亡者、鬼など大勢 時——大正×××年一月三十二日 処——大都会の場末 第一場 舞台は麺麭屋の店に続いた茶の間であるが、正面は障子の心もちにて全体に白幕。——プロセニウムに近く、炬燵に向ひ合つて、文六とおせい。——極度の不安。 家具類は置く必要なし。——夜である。 文六は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「週刊朝日 第十一巻第一号」1927(昭和2)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集2
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年2月8日