『さる・しか・くま』のじょ
『猿・鹿・熊』の序

冒頭文

この本の著者と私は一面識があるといふだけで、それほど深い交渉はないのだけれども、かねがね地方における篤学篤行の士であることは聞き及んでいた。 たまたま今度、本書の出版にあたって、私に序を寄せよとの希望があり、私は、自分に与えられたこの役割を無下に辞退する気にならなかった。それは、本書のゲラ刷を一読してみて、類の少い内容のものだといふ感じがしたばかりでなく、僻地における教師生活の実状を知る

文字遣い

新字旧仮名

初出

「猿・鹿・熊――日本にすむ野生動物の生活」さ・え・ら書房、1951(昭和26)年11月1日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日