じょゆうのおや
女優の親

冒頭文

三島由紀夫君の戯曲『夜の向日葵』を読んだときには、これを、文学座の本公演でやるのは、ちよつと無理じやないか、観客がついて来ないのじやないかと心配した。——それは作品の責任ばかりではないけれども——。 ところが、実際あゝして舞台にかけてみると、一部の気むずかしい批評家を除いては、わりにみんな楽しんで観ていたので、あゝよかつた。これだけ観客にわかつて、観客がついて来ればまア大丈夫だ。そういう

文字遣い

新字新仮名

初出

「芸術新潮 第四巻第九号」1953(昭和28)年9月1日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日