じゅんすいぎきょくへのみち
純粋戯曲への道

冒頭文

矢代静一君の城館(しろ)をみて、私は非常に新鮮なものと、極めてゆたかな才能の開花のようなものを認めた。 その新鮮さには戯曲形式への不敵な挑戦が感じられ、テーマの上でも、構成の上でも、また、特に文体の上で、私は最近の日本の戯曲を通じて、これほど、既成のものから完全に離脱を企てた作品にぶつかったことはない。それはたしかに、一つのものの探究にかけられた作者の情熱だと思う。 作者が、「

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学座あとりえ 第十四号」1954(昭和29)年2月8日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日