「にんじん」のやくこうをおえて
「にんじん」の訳稿を終へて

冒頭文

(此の一文は考ふるところあつて特に挟込となす) この翻訳は全く自分の道楽にやつた仕事だと云つていゝ。初めはのろのろ、しまいには大速力で、足かけ五年かゝつた。創作月刊、文芸春秋、作品、新科学的文芸、詩・現実、新青年、改造等の諸雑誌に少しづゝ発表した。 最初に断つておきたいことは、この小説を作者自身が脚色して同じ題の戯曲にした、それを、畏友山田珠樹君がもう七八年前、「赤毛」といふ題

文字遣い

新字旧仮名

初出

「にんじん 挟み込み別紙」白水社、1933(昭和8)年8月1日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日