まずだっきゃくすべきは |
先づ脱却すべきは |
冒頭文
僕の作品に於ける八重子を語れば、非常にいゝ場合と、それ程でない場合があるが、しかし、現在の職業俳優の中では、兎も角も一番「若い女性」になつてゐる。八重子を措いて他に人がないと言ひ得られる。 俳優としての素質、才能、容姿に多分に恵まれて、その教養に於て、新派と新劇の間を縫つて、その何れにも拘はれず、両方の長所を採り入れた八重子の、今日あるのは当然な事である。しかし、僕に忌憚なき註文を語らせ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「演芸画報 第二十五年第四号」1931(昭和6)年4月1日
底本
- 岸田國士全集28
- 岩波書店
- 1992(平成4)年6月17日