すきなまげのことなど
好きな髷のことなど

冒頭文

茶の袴 私が画学校に行っていた時、学校の古顔に前田玉英(ぎょくえい)さんがいました。その頃二十二、三ぐらいの年頃だったと思うが、画学校では女の生徒に茶の袴を穿かせることになっていたので、私らも茶の袴を穿き、袴を穿くのだからというので靴を買ってもらったことを覚えています。     束髪 その頃、というと明治二十一年頃、えらい何も彼も西洋が流行(はや)った頃で、束髪がちらほら出かけて

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第九巻第五号」1930(昭和5)年5月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日