しょくぎょう(きょうくんげき)
職業(教訓劇)

冒頭文

ある新劇団の稽古場。 正面に黒の無地幕。部屋の中央に一脚のベンチ。ほかの家具類は悉く片隅に寄せてある。そこには、椅子卓子(テーブル)などの外に、若干の小道具——乳母車、バケツ、洋刀、パラソル、三脚、毛布などが纏めて置いてある。右手に柱時計。 数名の男女俳優(又は研究生)が、思ひ思ひの姿勢で雑談を交してゐる。 男優B  本を読むと、どんなもんでもみんな台詞(せりふ)にしたくなるね。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸春秋 第十一年第八号」1933(昭和8)年8月1日

底本

  • 岸田國士全集6
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年5月10日