ひみつのだいしょう
秘密の代償

冒頭文

人物 生田 是則  四十九 妻  数子  四十六 息子 是守  二十五 小間使てる  二十一 七月の半ば過ぎである。某省の高級官吏生田是則は、休暇を取つて、家族と共に海岸の別荘へ来てゐる。家族と云つても、妻の数子と、長男の是守。次男の是高は、海が嫌ひだと称し、その代り、夏になると山登りの病気がはじまる。別荘には、番人夫婦がゐるから、本宅からは小間使のてる一人を伴に連れ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代 第十四巻第三号」1933(昭和8)年3月1日号

底本

  • 岸田國士全集6
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年5月10日