浅間山の麓 萱の密生した広漠たる原野の中に、白樺、落葉松などの疎林が点在し、土地を区劃するための道路が、焼石の地肌をみせて縦横に延びてゐる。 緩やかな斜面に沿つて、粗末な小舎(カツテージ)が一棟。斜面の尽きるあたりに、水量の乏しい渓流。温泉鑿掘のための櫓(やぐら)が、その岸に立つてゐる。 この物語の中に現れる人物 丹羽州太 同 二葉 その娘