うんをしゅぎにまかすおとこ
運を主義にまかす男

冒頭文

底野(又はカマボコ) 飛田(又はトンビ) こよ  以前の下宿の娘 口髭を生やした行商人 癈兵と称する押売 鶯を飼ふ老人 宇部家の小間使     一 底野(そこの)、飛田(とびた)の両人が共同で借りてゐる郊外の小住宅。座敷と茶の間の外に玄関。 男ばかりの暮しが、家の中全体を殺風景にしてゐるが、それだけ伸々とした空気が、何処かに漂つてゐる。 底野(二十八)が

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代 第十三巻第三号」1932(昭和7)年3月1日

底本

  • 岸田國士全集5
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年1月9日