にじいろのげんそう(シナリオ) |
虹色の幻想(シナリオ) |
冒頭文
第一話 一 海底の美しい景観のなかに、若い海女が一人、自由奔放な姿で現れる。腰に綱をつけてゐるのがはつきりわかる。海女は、岩の間を潜り、海草の茂みを分け、アハビ貝を探してゐる。アハビを二つ腰にさげた網に入れる。そして、綱を激しく手で引く。綱は上から手繰りあげられ、やがて、海女は水面に顔を出す。 水面には、一艘の小舟が待つてゐる。海女が舟べりに手をかけるのと、小舟の上の
文字遣い
新字旧仮名
初出
「群像 第九巻第七号(増刊号)」1954(昭和29)年6月15日
底本
- 岸田國士全集7
- 岩波書店
- 1992(平成3)年2月7日