ゆきだるまのげんそう(ラジオ・ドラマ)
雪だるまの幻想(ラジオ・ドラマ)

冒頭文

音楽 少女たちの合唱(歌の節にならぬやう、遠くより次第に近く) 雪の降る日 わたしたちは眼覚め 雪の消える日 わたしたちは眠る 悲しみもなく 怒りもなく よろこびもなく ただ静かに わたしたちは 息づき 風に舞ひ 大地にいこふ 雪はわたしたちのいのち 雪はわたしたちのよそほひ 白く 冷く もろく そーつと そーつと わたしたちは ひとりぽつちのひとと話をする

文字遣い

新字旧仮名

初出

「ラジオ小劇場」NHK、1952(昭和27)年1月17日放送

底本

  • 岸田國士全集7
  • 岩波書店
  • 1992(平成3)年2月7日