きぬとかみのはなしとしていのあいだがらのはなし
絹と紙の話と師弟の間柄の話

冒頭文

二、三年前竹杖会の研究会で年に二点は大小に拘わらず是非出品しなければいけないという規則が出来ましたので、いつぞや小品を一点持出したことがあります。ほんの小さな絵でしたがそれには土坡があって葦が生えているような図が描いてあったのです。ところがそれを見られて土田麦僊さんが不思議そうな顔付きで、この土坡の墨味がこういう風にムクーッと柔かくいってるのは一体どんな風にしてやられたのです、というお訊ねでした。

文字遣い

新字新仮名

初出

「塔影」1933(昭和8)年12月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日