にじとかんきょう
虹と感興

冒頭文

私は今婦女風俗の屏風一双を描いておりますが、これは徳川末期の風俗によったもので、もうそろそろ仕上りに近づいております。 これは東京某家へ納まるものです。もちろん画題のことなどは殆ど私まかせのものですが、私も何か変った図を捉えたいと思いまして、日を送っていました。この依頼を受けたのは、夏前頃のことでしたから、図題も自然と夏季の初め、すなわち初夏頃のものになりました。 私は、図題を

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第十一巻第一号」1932(昭和7)年1月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日