くらく あるひとのといにこたえて――えをつくるときのさっかのしんきょうについてわたしはこうかんがえています。
苦楽 ある人の問いに答えて――絵を作る時の作家の心境について私はこう考えています。

冒頭文

一 画の作家が、画をつくることについて、ある作家は、これを苦しみだと言います、それからある作家は、楽しみだと言います。 作家が画を作ることが、果たして苦しみでしょうか、また楽しみでしょうか。 これは考えようによって、どちらも本とうだと言えましょう。私は画を作ることは、私ども作家にとって、苦しみでもあり、また楽しみでもあると言いたいと思います。 それはどうして苦し

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第十四巻第二号」1935(昭和10)年2月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日