きりのなかのヨードル
霧の中のヨードル

冒頭文

一九二二年頃の事である。 朝日新聞が写真班を組織して、富山から大町へぬけるコースを募集したことがあった。藤木九三氏、長谷川写真班員等も同行した。 そのとき剱と立山の「主(ぬし)」、かの有名な長次郎と平蔵がその郎党と共にこの行に参加した。 私も、写真機を肩に、一学生として、加わったのであった。 最後のコースは平の小屋、ザラを越えて、大町にぬけるコース。ザラにか

文字遣い

新字新仮名

初出

「灯影 10号」1962(昭和37)年

底本

  • アフォリズム
  • てんびん社
  • 1973(昭和48)年11月8日