めいじかいこ
明治懐顧

冒頭文

私が絵を習い始めた頃を想い出すと、まことに伸々として懐かしいものが、数々あります。その頃(明治二十一年頃)京都には鈴木百年、松年、幸野楳嶺、岸竹堂、今尾景年、森寛斎、森川曾文等諸先生の社中がありましたが、ここでは鈴木松年社中を例として述べてみたいと思います。 今日でいう画塾の研究会というのが、毎月十五日円山の牡丹畑で開かれました。その頃の円山公園は、祇園神社のすぐ北側が鬱蒼とした森で、小

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本美術」1943(昭和18)年5月

底本

  • 青帛の仙女
  • 同朋舎出版
  • 1996(平成8)年4月5日