ひやかされたももわれむすめ
冷かされた桃割娘

冒頭文

いつも一番なつかしく若い頃を思い出させるのはその頃の縮図帖です。今の八坂倶楽部の地に有楽館というのがあって、森寛斎さんの創められた如雲社という集まりには京都中の当時の絵描が毎月十一日に集まって、和やかに色んな話をしたものです。その席上でも必ずお寺や町の好事家から昔の名画を参考品に七、八点出されるのが例になっており、それを一生懸命写し取ったものでした。それから当時は祇園祭の時分の屏風祭が又見ものでし

文字遣い

新字新仮名

初出

「京都日出新聞」1936(昭和11)年2月11日

底本

  • 青帛の仙女
  • 同朋舎出版
  • 1996(平成8)年4月5日