ずいそう
随想

冒頭文

時代の移り変わりは妙なものである。そのころは新しく奇異の思いにも感じられなかったことが、後にふり返ると滑稽にも思われる。 私は明治二十年、十三歳の頃京都の画学校に入ったが、その時分の学校は今の京都ホテルの処にあって、鈴木松年先生が北宗画の教授をされていた。半季ほどたってこの学校に改革が起こって松年先生は学校をやめられた。そんなことでその儘私も松年先生の画塾へ通うことになった。その当時に斎

文字遣い

新字新仮名

初出

「帝国美術」1938(昭和13)年11月

底本

  • 青帛の仙女
  • 同朋舎出版
  • 1996(平成8)年4月5日