きぬた

冒頭文

謡の「砧(きぬた)」に取材したものですが、章句の中には格別に時代が決定されていませんので、私の自由に徳川時代元禄から享保頃迄の人物にこれを表現してみました。最初は横物にして腰元の夕霧も描くつもりでしたが、寸法が制限されてますのでこの構図になりましたが縦七尺七寸、横四尺あります。 九州芦屋の里に家柄のある武士があり、訴訟事があって都に上ったが、かりそめの旅が三年という月日を数え妻は淋しく夫

文字遣い

新字新仮名

初出

「都市と芸術」1938(昭和13)年11月号

底本

  • 青帛の仙女
  • 同朋舎出版
  • 1996(平成8)年4月5日