人物 遠藤又蔵 妻 なほ 娘 きぬ 学生 床屋の主人 若い男 老紳士 隣の細君 職人 場所 東京の場末 時 冬のはじめ 煙草店の主人遠藤又蔵は、夕刊を読みながら、傍の娘きぬに話しかけてゐる。 又蔵 そんなこと云つて、お加代はあれでいくら取つてると思ふ。 きぬ 先月から三十円になつたのよ。